【春菜の家出】A
(続き)
「家出して、どこに行くんだ?」って聞いたら、彼氏の車で寝泊まりするという。
彼氏は2つ年上の社会人。………といっても、まだ未成年。
春菜の父親は、以前、春菜が前の彼氏の家に行っていて夜遅くなったとき、彼氏の家に怒って電話をかけてきただけでなく、警察まで呼んだという。
春菜が家出して、彼氏の車で寝泊まりしてると知ったらどんなことになるか。
「彼氏にものすごい迷惑をかけることになるよ」って言ったら、さすがに春菜も考え直した。
俺は春菜が父親の暴力から逃れるために家出をすること自体には反対ではない。
問題なのは、その方法だ。
援交にもあまり抵抗を感じていない春菜が行き先もはっきりしないまま家出なんかしたら、その先は見えている。
友達の家を泊まり歩くとしても、そんなに何日も泊まれるわけではないし、父親が見つけたら相手の家族にだって迷惑がかかる。
春菜には都内で一人暮らしをしているお姉さんがいる。
俺は春菜に「どうしても家出したくなったら、お姉さんのところに行け」と言った。
春菜は、「どうせお父さんに見つかるし、都内のお姉さんのところからじゃあ学校に通えない」と言う。
家出すると言っておきながら、学校を休むことを心配するなんて、可愛いよね。だから俺は春菜のことを「ちょっと悪い子」って言うんだけどさ。
今の春菜は一人で生きていくなんてできないんだから、家出と言ってもお父さんにちょっとショックを与えるのが目的。
完全に家族の枠からはみ出てしまうのは危険だ。
プチ家出をして、お父さんとの関係を変えていくきっかけになればいい。それだけのことさ。
「どうしてもお父さんの暴力がおさまらなければ、お母さんかお姉さんと一緒に児童相談所に行け」と言った。
お父さんは銀行員。銀行でどんな立場にあるかは分からないが、たいていの場合は公的機関が間に入れば、そんなに無茶はしない。
続く
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