【死を望む女の子】@
自分の死を望む女の子がいた。
彼女が何を自分の罪として背負っていたのか、ついに俺には分からなかった。
彼女は自分の罪について、何も話さなかった。
彼女自身も分からなかったのかも知れない。
友達が死んだとき、「私が代われれば良かったのに」と彼女は言った。
そのとき彼女は本当に代わってほしいと思っていたのだろう。
彼女にとって、死は願いの成就であったはずだ。
彼女の原罪は何なのか。
彼女は何から逃れようとしているのか。
俺にはどうしてもわからなかった。
どうすることもできなかった。
友達が死んで3年。彼女は「お墓参りがしたい」と言いだした。
俺は、彼女の中に得体の知れない「死」というものにとり憑かれている彼女を見た。
彼女は俺に連れて行って欲しいのだ。
そうしなければ自分に憑いている死神にとり殺されそうな自分自身を、彼女はどこかで感じていたのだろう。
俺は彼女を墓に連れていった。
彼女は1時間半も墓と向き合っていた。
俺は、離れたところで彼女を見守っていた。
これが何になるのか。こんなことをして、何の役に立っのか。
そう思わないでもなかったが、このときはそうするしかなかった。
その後で、俺は彼女を山に連れていった。
切り株に腰をおろして話をした。
彼女は相変わらず心を開かなかったが、それでもよかった。
とりあえず、死神から引き離せばいい。
彼女の心を開くのは、俺の役ではない。
喫茶店や車の中などの閉じた場所で話をしたくなかった。
死神を日の光にさらしてやりたかった。